口腔周囲筋と矯正治療|舌の位置と口呼吸が歯並びに与える影響(九州矯正歯科学会レポート②)
こんにちは。
**川西市の歯並び専門の歯医者、スマイルプラス矯正歯科の山本昌宏(歯学博士・日本矯正歯科学会認定医・アラインファカルティ)**です。
2026年3月8日、九州矯正歯科学会2日目には特別講演2として
韓国口腔筋機能療法研究会 会長
Barunhae orthodontic clinic 院長
李 銀煕 先生
による講演
「口腔筋機能を用いたⅢ級不正咬合の矯正治療
―舌の運動性を高めよう!―」
という講演に参加してきました。
座長は
社会医療法人敬和会大分岡病院
マキシロフェイシャルユニット部長
小椋幹記先生
です。
前回の記事では、
受け口(ClassⅢ不正咬合)の骨格的アプローチについてご紹介しました。
今回はそれに続き、
舌や口腔周囲筋などの機能が矯正治療に与える影響
について学んだ内容をご紹介します。
不正咬合と口腔機能
矯正治療というと
歯を動かして歯並びを整える治療
というイメージを持たれる方が多いと思います。
しかし実際には
-
呼吸
-
嚥下
-
咀嚼
-
舌の位置
-
口唇や頬の筋肉
などの口腔機能が歯並びや顎の成長に大きく関係しています。
講演では、ClassⅢ不正咬合(反対咬合)においても
遺伝
骨格
だけではなく
-
口呼吸
-
舌位低下
-
嚥下パターン
-
口唇の緊張
などの機能的・環境的要因が関与している可能性が説明されていました。
歯列の安定を決める「内外圧バランス」
歯列は
舌の内側からの圧力
口唇や頬の外側からの圧力
のバランスによって保たれています。
これは矯正歯科では
バクシネーターメカニクス(Buccinator mechanism)
と呼ばれています。
舌は歯列の内側から歯を支え、
頬や口唇の筋肉は外側から歯列を押す力として働きます。
このバランスが取れていることで、歯列は安定します。
この考え方は矯正歯科の世界では有名な
Graber の言葉
にも表れています。
「筋機能が整っていなければ、どれほど美しい歯並びを作っても安定しない。」
つまり歯並びの安定は、矯正装置だけではなく
筋肉のバランス
によって支えられているという考え方です。
講演の中で印象的だった言葉の一つが
「矯正力と筋機能のベクトルが一致しない限り、歯は前に進まない」
という言葉でした。
舌は歯列の内なる装置
舌は安静時には
上顎の口蓋に軽く接している状態
が望ましいとされています。
講演の中で繰り返し強調されていたのが
「舌は歯列の内なる装置」
という考え方です。
舌が正しい位置にあることで
-
上顎歯列の幅が維持される
-
歯列が安定する
可能性があります。
一方で舌の位置や筋機能が整っていない場合には
舌の力が矯正治療に対して
フォローにもなり、アゲインスト(抵抗)にもなる
可能性があります。
つまり舌の状態は
矯正治療の成否に大きく関わる要素
と言えるのではないかと感じました。
これは
-
治療の質
-
治療期間
-
長期安定
にも関わる重要な要素だと感じました。
口呼吸と歯並びの関係
口呼吸は、不正咬合を引き起こす環境因子の一つと考えられています。
もちろん鼻炎などで鼻呼吸ができない場合は、耳鼻咽喉科での受診をおすすめします。
しかしそうではなく習慣的な口呼吸の場合、さまざまな問題が起こる可能性があります。
例えば
姿勢が悪くなる(猫背)
舌の位置が下がる
上顎の幅径が狭くなる
鼻腔の体積が狭くなる
といった変化です。
そして鼻腔が狭くなることで、さらに口呼吸が強くなるという
負のスパイラル
に陥ってしまう可能性があります。
また口呼吸では
お口ポカン
口腔内乾燥
歯垢の沈着増加
なども起こりやすくなります。
舌は本来どこにあるべきか
本来、安静時の舌の位置は
上顎の口蓋
に接している状態が望ましいとされています。
しかし口呼吸や姿勢の問題などがあると、舌は低い位置に下がりやすくなります。
舌が低位になると
舌の内側からの圧力が弱くなる
頬の圧力が強くなる
ため、
上顎歯列の狭窄
が起こりやすくなると考えられています。
近藤悦子先生の「マッスルウィン」という考え方
今回の講演を聞きながら、私が思い出したのが
矯正歯科医 近藤悦子先生の治療です。
近藤先生の治療は非常に独創的で、臨床的にもとてもアーティスティックなものでした。
その治療結果は
「近藤マジック」
と呼ばれるほどで、私自身これまで多くの矯正医の症例を見てきましたが、近藤先生のような症例を他の先生で見たことがありません。
近藤先生がご健在だった頃、私も何度かセミナーを受講させていただいたことがあります。
Lee先生の症例を拝見していると、まるで近藤悦子先生が治療されたかのように感じる症例がありました。
近藤先生は亡くなられたかもしれませんが、近藤先生の治療スピリットはこのように引き継がれているのだと感じ、とても嬉しく思いました。
もちろん私自身には近藤先生のような治療はできないと思いますが、
いつかそのような矯正歯科医になりたい
と感じた講演でした。
当院での機能的矯正治療
スマイルプラス矯正歯科でも
口腔周囲筋の機能
は矯正治療を成功に導く重要な要素の一つだと考えています。
そのため当院では
プレオルソ
EF Line
マルチファミリー
などの装置を使用し、舌の位置や口唇・頬の筋肉のバランスを整える治療を行っています。
患者さんそれぞれに応じた機能的矯正装置を選択して使用していただいています。
まとめ
今回の講演を通して改めて感じたのは、
矯正治療は歯を並べるだけの治療ではない
ということです。
歯並びの背景には
-
呼吸
-
舌の位置
-
筋肉の使い方
など多くの機能が関係しています。
そのため矯正治療では
形態と機能の両方を考えること
が重要になります。
川西市・池田市・伊丹市・宝塚市・猪名川町で
小児矯正、マウスピース矯正(インビザライン)などの矯正治療をご検討の方は、お気軽にご相談ください。
スマイルプラス矯正歯科では、矯正専門医が歯並びやかみ合わせを丁寧に診断し、患者さんにとって最適な治療方法をご提案しています。
なるべく歯を抜かない矯正治療(小臼歯非抜歯矯正)を希望されている方
他院で抜歯が必要と言われた方
他院でマウスピース矯正は難しいと言われた方
他院で「様子を見ましょう」と言われた方
も、一度ご相談いただければと思います。
矯正相談では、歯並びやかみ合わせの状態を確認し、現在の問題点や治療の選択肢について分かりやすくご説明いたします。
矯正のご相談はこちら
https://besmile.jp/contact/
スマイルプラス矯正歯科
院長 山本昌宏
(歯学博士・日本矯正歯科学会認定医・アラインファカルティ)

