受け口(ClassⅢ)の矯正治療はどう考える?
九州矯正歯科学会で再確認した診断と治療の考え方
受け口(下顎前突)は、歯並びだけの問題ではなく、顎の骨格や成長が関係する噛み合わせです。
矯正治療では、前後関係だけでなく横断方向(幅径)も含めた骨格診断が重要になります。
今回は九州矯正歯科学会での講演内容をもとに、受け口治療の考え方について解説します。
更新日:2026年3月
こんにちは。
**川西市の歯並び専門の歯医者、スマイルプラス矯正歯科の山本昌宏(歯学博士・日本矯正歯科学会認定医・アラインファカルティ)**です。
2026年3月7日、大分で開催された
第21回 九州矯正歯科学会学術大会に参加してきました。
今回の大会テーマは
「下顎前突治療を見直そう」
です。
下顎前突は、いわゆる受け口と呼ばれる噛み合わせで、矯正歯科の中でも非常に議論の多いテーマの一つです。
1日目には、イースマイル国際矯正歯科の
有本博英先生による特別講演
「Ⅲ級治療における Orthopedic First アプローチ」
が行われました。
受け口(ClassⅢ)はなぜ起こるのか?
講演では、ClassⅢ不正咬合の骨格的な原因について整理されておられました。
研究によると、受け口の骨格的要因は大きく分けて
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下顎の過成長(約50%)
-
上顎の成長不足(約25〜30%)
-
横断方向の幅径の不調和
などが関係していると報告されています。
特に興味深かったのは
横断方向の問題の重要性です。
講演では、ClassⅢ症例の多くで
上顎と下顎の幅径のバランスが崩れている
可能性が示されていました。
つまり、受け口の問題は
「前後的の問題だけではない」
という視点です。
歯だけで治す治療の限界
これまでClassⅢの非外科治療では
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上顎前歯を前に傾ける
-
下顎前歯を内側に傾ける
といった**歯の傾斜による補償(コンペンセーション)**が行われてきました。
しかし講演では、このような歯性代償には限界があることも示されていました。
例えば
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上顎前歯の過度なフレア(唇側傾斜)
-
下顎前歯の舌側傾斜
-
咬合平面の変化
-
臼歯の傾斜
などが起こりやすく、
骨格的な問題を歯の移動だけで補うことには注意が必要です。
私にとっての有本先生
今回,特別講演された有本博英先生は、私にとって特別な存在でもあります。
私が大阪歯科大学の大学院で矯正科に入局した当時、
有本先生は助手として指導されており、私自身の矯正臨床だけでなく多くのことを先生から教わりました。
そのお付き合いは大学院に入る前、
大学4回生の頃から続いており、かれこれ30年以上になります。
振り返ると、有本先生がまだ新婚で、私も独身だった頃は、
家族よりも長い時間を共に過ごしていたのではないかと思うほどです。
有本先生は、私にとって紛れもなくメンターの一人です。
先生のおかげで
賀久先生、そしてグリーンフィールド先生との出会いがあり、
現在の私の矯正治療のベースが形作られました。
私が大切にしている治療の考え方
私が現在も大切にしている矯正治療の考え方の一つが
グリーンフィールド先生のCADテクニックです。
この考え方では、歯並びを整える際に
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まず横断方向(幅径)の問題を改善する
-
次に前後関係を改善する
-
その結果として垂直的な問題も整う
という順序で治療を進めます。
具体的には
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上下顎の拡大(アーチデベロップメント)
-
上顎臼歯の遠心移動
などを組み合わせ、咬合関係を改善していきます。
このアプローチの特徴は
できるだけ歯を抜かずに治療できる可能性を広げること
にあります。
インビザラインシステムでも同じ考え方
現在は**マウスピース矯正(インビザライン)**を用いる治療も増えています。
私はこのCADテクニックの考え方をベースに
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幅径の改善(アーチデベロップメント)
-
前後関係の改善
という歯の移動の順番を意識して治療を行っています。
装置が変わっても
治療の基本となる考え方は変わりません。
その結果、従来の矯正装置と同様に
インビザラインでも安定した治療結果が得られていると感じています。
受け口はいつ相談すればよいか?
患者さんからよく受ける質問の一つになります。
受け口(下顎前突)は
成長とともに前後的なズレも大きくなる可能性がある噛み合わせです。
そのため
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3歳児検診
-
就学前検診
-
一般歯科受診時
などで受け口を指摘された場合は、
矯正専門の矯正歯科を受診することをおすすめします。
また、親御さんがお子さんの受け口に気づかれた場合も同様です。
成長は予測できるのか?
矯正歯科では
Baccettiの頚椎骨成熟度評価(CVM法)
などを用いて、側貌セファロから骨格の成熟度を評価する方法があります。
また
McNamara分析
などのセファロ分析を用い
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上顎骨
-
下顎骨
-
前後的バランス
を評価し、骨格的問題かどうかを診断します。
しかし
将来どの程度成長するのかを確実に知る方法は、現在の医学では存在しません。
受け口治療は長期的な治療
早期治療で一度改善しても
成長によって再び受け口が強くなる可能性
があります。
そのため
成長が完全に終了した時点で受け口ではない
ことを確認して初めて治療終了と言えることが多くなります。
当院での受け口の治療では
成長が止まる18歳頃まで長期的に経過をみさせていただいてます。
当院での最年少の患者さん
スマイルプラス矯正歯科では
3歳の患者さんの受け口治療も行っておりました。
もちろんこの年齢では
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装置を指示通りに使ってもらえるか
-
嫌がらず、怖がらずに通院してもらえるか
といった点も非常に重要になります。
他院にて、様子をみましょうと言われたけど、
お子さんに今できる治療をと考えられておられるご家庭は
矯正相談にお越しくださいませ。
正確な診断のための検査
矯正治療では
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側貌セファロ
-
正貌セファロ
などのレントゲン撮影を行い
前後・左右・上下の骨格バランス
を3次元的に評価します。
最近では
CBCT(歯科用3次元CT)
を併用することで
より精度の高い診断と治療計画が可能になっています。
まとめ
受け口(ClassⅢ不正咬合)の治療では
歯並びだけでなく骨格や成長を考えること
がとても重要です。
川西市・池田市・伊丹市・宝塚市・猪名川町で
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小児矯正
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マウスピース矯正
-
インビザライン
などをご検討の方は
お気軽にご相談ください。
矯正のご相談はコチラから→https://besmile.jp/contact/
スマイルプラス矯正歯科
院長 山本昌宏
(歯学博士・日本矯正歯科学会認定医・アラインファカルティ)


